
『放浪記』の著者で知られる林芙美子が、当館に滞在されたのは昭和一六年五月二六日から十日間ばかりのこと。
芙美子は、「婦人公論」に連載する「国土巡礼 扁舟紀行」の取材のため、四国を訪れたのです。
彼女は、山河に橋のある当地のひなびた風景をこよなく愛し、村人とも親しみ、色紙や短冊を残されております。
また、当館先代の叔父である小西悦助とは特に気が合ったようで、交流の様子を『旅人』や悦助をモデルとした小説『めかくし鳳凰』にほのぼのと描かれています。
館内には、芙美子の作品や滞在中の写真・色紙などを揃えて展示しています。
作品の中では小西旅館そのものも舞台となり、宿の居心地のよさを語ってくれています。
また、芙美子の句を文学碑として玄関脇に建立しています。



